相続を検討している方や相続される方にぜひ知っておいてもらいたいことのひとつが、被相続人から生前贈与を受けた方に関係してくる相続時精算課税制度です。
今回はこの相続時精算課税制度とは何かをわかりやすく解説したうえで、相続時精算課税制度の計算方法や生前贈与の注意点などについてもお話しします。
相続時精算課税制度とはどんな制度なのかをわかりやすく解説
相続時精算課税制度とはどんな制度なのかわかりやすくいうと「生前贈与は2,500万円まで贈与税を非課税にしますが、相続発生の際はその分も含めて相続税を清算します」という趣旨の制度です。
本来、贈与は年間110万円を超えた部分から贈与税の対象となりますが、相続時精算課税制度を使えば2,500万円まで贈与税がかかりません。
しかし、贈与してくれた方が亡くなって相続が発生したときには、相続した財産だけでなくそこで生前贈与を受けた額も含めて相続税を計算する必要があります。
わかりやすくいうと税金支払いを先送りするという趣旨の制度です。
この相続時精算課税制度の適用対象者は限られています。
贈与者は贈与をした年の1月1日において60歳以上の父母または祖父母で、受贈者は贈与を受けた年の1月1日において20歳以上の者のうち贈与者の直系卑属（子や孫）である推定相続人または孫に限られます。
相続時精算課税制度の計算方法とはどんなものかわかりやすく解説
では次に、相続時精算課税制度の計算方法をわかりやすく解説します。
まず、相続時精算課税制度を使った生前贈与時の贈与税の計算方法は「（贈与財産の価額－特別控除額2,500万円）×20％」となります。
そして相続税がかかるかかからないかは、相続財産＋生前贈与の合計額が基礎控除以内か基礎控除以上かで異なります。
基礎控除とは「3,000万円＋600万円×法定相続人の数」で算出した額のことで、相続財産と生前贈与の額がこれを下回った場合は相続税がかかりません。
しかし、基礎控除を超えた場合は超えた金額によって相続税が累進課税されます。
相続時精算課税制度を使った生前贈与に関する注意点を解説
では最後に、相続時精算課税制度を使った生前贈与に関する注意点をわかりやすく解説します。
大きな注意点としてまず挙げられるのは、一度相続時精算課税制度を使うと、その後は毎年110万円までの相続税非課税枠が使えなくなるということです。
他にも、相続時精算課税制度で贈与された財産は物納できないことや、少額の生前贈与であっても申告が必要なことなどが注意点として挙げられます。
また、相続時精算課税制度は基本的に税金の先送り制度であり、節税効果自体はとくに期待できないことも理解しておく必要があります。
まとめ
相続時精算課税制度は生前贈与の際に贈与税が2,500万円まで非課税となる、という点ではメリットが大きいですが、あくまで税金の先送り的な制度であるということを理解しておく必要があります。
この制度を利用するかどうかは相続時のことも考慮し、慎重に検討しましょう。
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